昨日は銀座リプトンティールームでユーツリーファームからキャロラインさんを招いてのイベントでした。
「美しいイギリスの田舎を歩く」(集英社be文庫)にもユーツリーファームのことは書いていますが、その取材として湖水地方にユーツリーファームを訪ねてから、キャロラインさんとは 顔見知りになり、今回も通訳をさせていただきました。
ユーツリーファームは「ミス・ポター」の映画で、ビアトリクス・ポターのアトリエ兼住居であったヒルトップとして使われてから一躍有名になりました。
講座はこんな感じで、キャロラインさん右手に見えるスクリーンに映し出される映像を中心にお話しされました。
「百聞は一見に如かず」ーまだ湖水地方に行かれたことがない方には映像があるとわかりやすいですね。
キャロラインさんとご主人が行っている高原農場のこと(これが二酸化炭素を減らすということで温暖化阻止にも貢献しているんです)、湖水地方固有のハードウィック種の羊のこと、ナショナルトラストとのかかわり(キャロラインさんたち家族はナショナルトラストからユーツリーファームを15年ごとに契約をして借りています)といった、私たちがあまり知るチャンスがない湖水地方の農場の生活についても多くを学びました。
ポターがかつて所有し、ナショナル・トラストに売却した農場のひとつであったユーツリーファーム。ポターが不況のなか農場の現金収入のために買い集めたアンティーク家具や装飾品でダイニングルームをしつらえ、ティールームを開かせたことでも知られています。
その遺志を継いで、キャロラインさんもティールームを開きましたが、「ミス・ポター」の公開以来大勢の観光客が押し寄せてきて、やりきれなくなり、残念なことに昨年の11月に閉めてしまいました。現在は10名以上のグループ予約のみ受け付けています。ユーツリーファームのそのインテリアも映像で紹介されましたよ。
キャロラインさんのティールームでも出していたおばあさんから受け継いだスコーンの作り方もご紹介。
粉の中に空気を入れること、「ラビング」と言って、粉とバターをよくなじませること、表面はひび割れたり、ごつごつした感じがほしいので麺棒は使わず、手で押さえつけるだけにすることなど大切なポイントをいくつも丁寧に教えてくれました。焼きあがりは上の写真のとおり。「いつもは直径10cmくらいの大きな型で抜くけれど、今日はおしゃれに小さく焼くわね」ということでこの大きさになりました。
参加された皆さんがおいしい紅茶とともに楽しんだセットはこれ。
キャロラインさんのレシピでスタッフの方が作ったスコーン、ジンジャーブレッドが入っています。
講座に参加されたお一人から早速こんなメールが届きました。
「動物学者が最近番組で言っていた人間は地球というタペストリーの一糸なのだという生き方は、まさにキャロラインさんの暮らしぶりにふさわしいものですね。、キャロラインさんの歴史を受け継ぎ、周りと調和し、また未来へとつないでいく生き方ですね。」
かつてポターが絵本の印税などの自らの資金を投入して開発から守り、残した自然、そこに住む人々の生活は、今こうしてキャロラインのような若い人によって受け継がれ、また未来へとつながっていく―、
そうした自然とともにある暮らし、考え方もこうしたイベントの機会に私たちはイギリスから学び、考えるべきだと改めて思うのでした。
3連休の最終日、しかも午前中のイベントにもかかわらず朝早くからご参加頂きました皆様、本当にありがとうございました。