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2011年5月

2011年5月22日 (日)

5月のセージ

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我が家のテラス脇に植えたセージの花が3年目の今年はたくさん咲きました。

紫色の花がとてもきれいです。

「5月にセージを食べると長生きする」

薬効に富むハーブの代表であることを物語るセージの古くから伝わる言い伝えです。

Sage3 その言い伝え通りに、今晩はセージの葉を摘んで、てんぷらにしました。

外国のハーブの本にはセージの葉のフリッターがよく載っていますが、カリッとおいしく揚がるてんぷら粉があったので、今晩は和風にしました。

しっとりとしたベルベットのような肌触りの葉。てんぷらにするとほのかな苦みがまるで山菜のようです。

このセージの伝説、薬効について詳しくは「ハーブの事典」(東京堂出版)のセージの章に書いていますので、ぜひこの季節にお読みいただきたいと思います。

2011年5月20日 (金)

湖水地方からのお土産

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横浜・イギリス館の講座にご参加くださった方から湖水地方のお土産をいただきました。

4月に旅行で行かれたとのこと、羨ましい限りです。

いただいたのは、湖水地方のグラスミアにあるサラ・ネルソンのジンジャーブレッドとウィッタードの紅茶。ジンジャーブレッドは、古くから湖水地方のウォーカーたちの栄養源として楽しまれてきた味。そのため持ち歩いても割れないように硬く焼かれています。

きっとビアトリクス・ポターも味わったことでしょう。

このジンジャーブレッドのレシピは企業秘密となっていますが、イギリスのお菓子の本にはサラ・ネルソンのジンジャーブレッドとしてレシピが載っていることがよくあります。似た味にできるという推測の上でのレシピということですが・・・。

私の本である「美しいイギリスの田舎を歩く!」p177にも、そうしたレシピを参考にして私が研究したグラスミアのジンジャーブレッドのレシピを載せていますので、ぜひご覧ください。

本物より甘みが抑え目で、簡単においしくできますよ!ミルクティーにピッタリの味わいです。

ジンジャーの香るグラスミアにある、このジンジャーブレッドを売る小さなお店の佇まいも大好きです。ジンジャーブレッドをいただきながら、湖水地方のいろいろな景色を思い出してしまいました。

今年の夏、湖水地方にも足を伸ばす予定ですが、この店にもまた立ち寄りたいと思っています。

2011年5月19日 (木)

ポターについての連載と講座

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4月から大修館書店発行の「英語教育」のカラーページに連載をしています。6月号が5月14日に発売となりました。

テーマは「ポターと巡る湖水地方の12か月」。ポターの描いた絵本の挿絵と私が撮った写真を組み合わせ、毎号その季節に合ったテーマで1年間書いていきます。

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ちなみに6月号のテーマは「ポターのバラ」。

今週はイギリス・ロンドンでチェルシーフラワーショーが開かれますが、昨年のこのショーで発表された「ビアトリクス・ポター」と名付けられた新作のバラのことを中心に書きました。

昨年の5月は銀座教文館内にある子どもの本の店「ナルニア国」のギャラリーで、「ハーブ祝祭暦」出版を記念して写真展を開いていました。その写真展を見てくださった「英語教育」の編集の方が今回の連載のお仕事に声をかけてくださいました。

「英語教育」は中、高校の英語の先生向けの雑誌ですが、どうぞお気軽に手にとってご覧になってくださいね。

この連載とまるで対応しているかのようですが、池袋にある西武コミュニティ・カレッジで来週の土曜日5月28日と6月25日13時から「ポターの絵本の舞台となった湖水地方について」「ポターの絵本の中に描かれるハーブや食べ物のおはなし」と題して講座をします。この講座の担当の方も「ナルニア国」での写真展を見てくださってこのお仕事を企画してくださいました。それぞれ1回のみの受講も可能ですので、ご参加をお待ちしています。

出会いのご縁、いただいたお仕事を大切にして、がんばりたいと思っています。

2011年5月17日 (火)

イギリス館でNGSジャパンの講座

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またまたご無沙汰してしまいました・・・。

14日、16日と続けて講座があったので、その準備に追われておりました。

昨日は横浜山手にあるイギリス館でのNGSジャパンの講座。イギリス館の前に広がるバラ園もイギリス館の周りもすべてバラが咲き乱れていて、イギリスのリージェントパークを思い出すような、とても美しい光景です。今が見ごろです。

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Igirisukan5_3                               上:イギリス館前のバラ園 

                                      下:クイーン・エリザベスと名付けられたバラ

このバラの季節にふさわしくテーマもバラでお話しさせていただきました。イギリスの紋章となっているチュードル・バラのこと、バラの原種、以前この季節に訪ねた南仏で5月に収穫されるローズ・ド・メの様子などスライドを使っていつものようにお話しました。

私の話の後は、ニールズヤード・リメディーズの方がダマスクローズのオイルを使ってルームフレグランス作りを教えてくださいました。ニールズヤードはイギリスの会社です。一人ずつが小さなスプレーにオイル、エタノール、精製水でそのルームフレグランスを作るという実演つき。

講座はそのあと榎木亭のチェリーサンドでティータイム、奏汰さんのシンセサイザーの演奏と盛りだくさんで、幸せな午後の時間を私も皆さんとご一緒に楽しませていただきました。

バラのオイルは女性の更年期の症状やホルモンにもよい働きがあるとのこと、高価ですが、身近に使いたいオイルのひとつだと感じました。髪を乾かすときにシュッと濡れた髪全体にかけてから乾かすとよいと教えていただきましたので、早速使ってみました。

自然のバラの香りがふなんとも優しい気持ちにさせてくれます。お勧めです!!

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                             イギリス館のコーナーにさりげなく飾られていたバラのブーケ

2011年5月 3日 (火)

スズランのバスケット

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私の実家の庭の木の下に群生して咲いているスズラン。あまりに可愛いので、昨日もらってきました。今がちょうど見ごろです。

いい香りで、部屋に飾っていると部屋中にこの香りが漂っています。

キャサリン妃のウェディング・ブーケにも、このスズランが1本ずつワイヤリングして束ねられていたのですね。

そのウェディング・ブーケについてこのブログでUPしてからアクセス数が急に伸びました!!検索してこのブログをご覧いただいた方もあり、やはり関心の高さを感じています。

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スズランに関連して、王立園芸協会(RHS)の2007年12月の会報誌The Gardenにでていた記事をご紹介します。

写真はロシア王室御用達の宝石商ファベルジェが製作したもので、ロマノフ朝ロシア皇帝ニコライ2世が、24歳で嫁ぎ、皇后となった妻アレクサンドラ・フョードロヴナに贈ったスズランのバスケットの飾りものです。

金のバスケットに翡翠で出来た葉、そこからは19本の金の茎がでて、スズランの花は真珠に銀とダイヤモンドで縁取られ、小さな花がこぼれんばかりについているという可憐で豪華なもの。高さ19cm、幅22cmと小さいながらもエレガントですね。

実はこの皇后は、ビクトリア女王の孫娘アリックス。ドイツのルードヴィッヒ4世に嫁いだビクトリア女王の次女アリスが35歳で亡くなったため、6歳から12歳までビクトリア女王によってイギリス人として育てられたのです。

アレクサンドラはこの飾り物をとても好み、家族の愛、ロシア国民の皇帝に対する愛の象徴として終生大切にしたとのこと。嫁ぐ前は明るかった性格がロシアに嫁いでからはロシア社会に馴染めず、無口で無表情になってしまったという皇后にとって、このスズランの飾りものは、懐かしいイギリスの田舎を思い出させる、心のよりどころだったのかもしれません。

この皇后には、レーニンから命令を受けた革命軍によってロマノフ一族全員銃殺されるという悲劇が待っていたのでした。

アレクサンドラ亡き後、レーニンはこのスズランの飾りものを大切に保管し、後にアメリカのコレクターの手に渡ります。

そして、今、Cheekwood Botanical Garden and Museum of Artで、6月5日まで展示されているそうです。

近ければすぐにでも見に行ってみたいものですね。

2011年5月 1日 (日)

ウェディング・ブーケ

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                                             マートルの花

ロイヤルウェディングで私の一番の興味はケイトさん(現キャサリン妃)が持つブーケでした。残念ながら、そのブーケについては日本の報道ではほとんど触れられることがありませんでした。

ダイアナ妃のキャスケードスタイルの豪華なブーケに比べるとかなり小さくて、可愛らしいものでしたね。

ウェディングドレスのレースの図案となっているthistle・あざみ(スコットランドの国花)、rose・バラ(イングランドの国花)、shamrock・.シャムロック(アイルランドの国花)、daffodil・水仙(ウェールズの国花)に合わせたブーケとのこと。

シールド(盾)・シェープのブーケで、マートル、スズラン、ヒヤシンス、スイート・ウィリアムで作られていました。

王室の伝統と花言葉から選ばれた花です。

花ことばの意味は、

スズラン:繰り返される幸せ

ヒヤシンス:永遠の愛

アイビー:貞節

マートル:結婚の象徴、愛

そしてスイート・ウィリアムの花言葉は「勇敢」となっていますが、ウィリアム王子の名前をこの花に重ね「優しいウィリアム王子」の意でこの花を選んだとのこと。イギリス人独特のユーモアのセンスを感じますね。

特にマートルを結婚式のブーケに入れることは、ビクトリア女王の長女であるビクトリア王女が1858年に結婚する際、ビクトリア女王がマートルをブーケに入れたことから始まった英国王室ならではの習慣です。

そのマートルは、そもそもビクトリア女王がアルバート公と一緒に訪ねたドイツでアルバート公の祖母から贈られたブーケに入っていたものでした。

そのマートルの一枝をワイト島の二人の別荘、オズボーンハウスのテラスに植え、それがいまや大きな茂みとなっています。

ケイトさんのブーケにもこのワイト島の大きく茂ったマートルの枝が入れられたことと思います。

ビクトリア女王とマートルに関しては、「ハーブ祝祭暦」(教文館)、現在発売中の「野菜をつくろうVol2」(集英社)に詳しく書いていますので、ぜひご覧になってください。

ケイトさんのブーケのデザインはShane Connolly氏というロンドンを基盤に活躍するフラワーデザイナー。王室とのかかわりも深く、チャールズ皇太子とカミラ夫人の結婚式では、ブーケを含むウェディングの花をすべて担当したとのこと。

今回のロイヤルウェディングでは、父親譲りに環境問題に敏感なウィリアム王子が、「エコフレンドリー」な式を目指したいとの意向から彼が選ばれたといいます。

彼はオーガニックで栽培した花や、その場限りではない鉢植えの木などを使用するからです。

ウェストミンスター寺院に飾られたグリーンが目を引きましたが、これもConnolly氏のアレンジで、鉢に植わった8本のMaple(メープル)とHornbeam(シデ)の木でした。この木もお二人の意向でウェストミンスター寺院に5月6日までそのまま飾られ、その後チャールズ皇太子のハイグローブの庭に植えられることになっているそうです。

式の後、このウェディング・ブーケは、第一次世界大戦で命を落とした兵士たちのお墓に捧げられるとのこと。

この習慣も英国王室の伝統で、1923年に現エリザベス女王の母であるクイーンマザーが始めたことでした。

古きものを大切にするイギリス人の心がこのブーケひとつにもたくさんこめられていることを感じます。

ここに書いたような内容をさらにふくらませてウェディングにまつわるハーブや花、ケーキ、などの習慣、文学などについてイギリスのスライドと合わせてご紹介する講座を5月14日(土)13時より池袋コミュニティ・クラブで行います。詳しくはこちらをご覧ください。

ご興味のある方のご参加を心からお待ちしています。

参考にしたサイト:

http://www.officialroyalwedding2011.org/blog/2011/April/29/The-Wedding-Dress--Bridesmaids--Dresses-and-Pages--Uniforms

http://omg.yahoo.com/news/kate-middletons-royal-wedding-bouquet-all-the-details/61772 (このサイトにはブーケをアップにした写真が載っています)

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